2015.11.08
全日程終了いたしました。ご来場誠にありがとうございました!
2015.10.28
インタビューを更新しました。
2015.10.06
残席情報を更新しました。
2015.09.06
スタジオ新企画「石田剛太のSNSから今日の1枚」スタート!
2015.08.24
スタジオ新企画「土佐和成の文房具Dig it out!」スタート!
今回は文房具コメディです。
時は満ちたという気分です。
子供のころから文房具にはとても親しみがあって、
バットやグローブよりも文房具に近いところで暮らしてきました。
打球の軌道は裏切りますが文房具は裏切りません。
友達だって恋人だって裏切りますが文房具は裏切りません。
そうして僕は方眼紙とセロテープで迷路ゲームを作り、
4つ切りの画用紙にフェルトペンで壁新聞を書き、
ホッチキスで豆本を作り、
ときどき机の上に飛び込んでくるバレーボールに驚かされながら10代をすごし、
今はシャーペンとスケッチブックとマグネットで劇を作ってます。
遊星がいつ飛んでくるかわからないような世の中です、
僕にできることは文房具コメディを作ることです。
(上田誠)
作・演出 = 上田誠
音楽 = HARCO
出演 = 石田剛太 酒井善史 角田貴志 諏訪雅 土佐和成
中川晴樹 永野宗典 西村直子 本多力
/岡嶋秀昭 中西ちさと 吉川莉早 川岡大次郎
美術=長田佳代子 照明=葛西健一 音響=宮田充規
衣装=清川敦子(atm) ヘアメイク=松村妙子 映像=大見康裕
演出助手=山田翠・大歳倫弘 舞台監督=筒井昭善×大鹿展明
演出部=大槻めぐみ・シロサキユウジ・磯村令子・杉浦訓大 運送=植松ライン
アートディレクション=underson 宣伝写真=有本真紀
宣伝映像・記録映像=山口淳太
制作= 井神拓也・諏訪雅・本多力・吉田和睦 WEB=宇高早紀子
制作補=天恵祐子・大瀬千尋
協力=リコモーション/ウミ下着/ギフト/テロワール
京都芸術センター制作支援事業
企画・製作=ヨーロッパ企画 / 株式会社オポス
2015/9/5(土) 15:00
(開場は開演の30分前)
前売2,000円/当日2,500円
(全席指定・未就学児入場不可)
▽栗東芸術文化会館さきら
077-551-1455(10:00~21:00月曜休館)
さきらオンラインチケットサービス
http://www.sakira-ritto.net/
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-414)
▽ローソンチケット
0570-084-005(Lコード56827)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
▽平和堂アル・プラザ栗東くらしのサービスセンター
主催= 栗東芸術文化会館さきら/ヨーロッパ企画/オポス
制作協力=サウンドクリエーター
助成=文化庁文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
問=栗東芸術文化会館さきら
077-551-1415(9:00~22:00月曜休館)
9/10(木) 19:00
9/11(金) 19:00
9/12(土) 13:00 / 18:00★
9/13(日) 13:00
(開場は開演の30分前)
★印は出演者による「おまけトークショー」あり
前売3,500円/当日4,000円
(全席指定・未就学児入場不可)
学生シート(前売のみ)2,500円
(入場時要学生証提示)
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-415)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
▽ローソンチケット
0570-084-005(Lコード56829)
▽京都府立文化芸術会館 075-222-1046
主催=ヨーロッパ企画/オポス
協力=京都府立文化芸術会館
制作協力=サウンドクリエーター
後援=KBS京都/α-station
助成=文化庁文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
9/16(水) 19:00
(開場は開演の30分前)
前売4,500円/当日5,000円
(全席指定・未就学児入場不可)
学生シート(前売のみ)3,500円
(入場時要学生証提示)
▽TANK!the WEB
http://www.sundayfolk.com
▽ダイレクトセンター
052-320-9000
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-696)
▽ローソンチケット
0570-084-005(Lコード48922)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
主催=ヨーロッパ企画/オポス
制作協力=サンデーフォークプロモーション/兎楽舎
後援=名古屋市文化振興事業団
問=サンデーフォークプロモーション
052-320-9100(10:00~18:00)
9/25(金) 19:00♪
9/26(土) 13:00 / 18:00★
9/27(日) 13:00
9/28(月) 19:00★
9/29(火) 休演日
9/30(水) 19:00★
10/1(木) 14:00★ / 19:00★
10/2(金) 19:00
10/3(土) 13:00 / 18:00★
10/4(日) 13:00
(開場は開演の30分前)
♪印の東京公演初日はスペシャルイベント「メンバー全員による文房具対決+大抽選会の開催決定!」あり
★印は出演者による「おまけトークショー」あり
前売4,500円/当日5,000円
(全席指定・未就学児入場不可)
学生シート(前売のみ)3,500円
(入場時要学生証提示)
▽サンライズオンライン
http://sunrisetokyo.com (パソコン・携帯)
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-340)
▽ローソンチケット
0570-000-407・0570-084-003(Lコード35664)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
▽本多劇場窓口
11:00~19:00(電話予約不可)
主催= ニッポン放送/ヨーロッパ企画/オポス
制作協力=サンライズプロモーション東京/ゴーチ・ブラザーズ
問=サンライズプロモーション東京
0570-00-3337(全日10:00~18:00)
10/10(土) 13:00 / 18:00★
10/11(日) 13:00
10/12(月・祝) 13:00 / 18:00★
10/13(火) 19:00
10/14(水) 19:00
10/15(木) 14:00
(開場は開演の30分前)
★印は出演者による「おまけトークショー」あり
※10/12はビデオ撮影のため、
客席にカメラが入ります。
前売4,500円/当日5,000円
(全席指定・未就学児入場不可)
学生シート(前売のみ)3,500円
(入場時要学生証提示)
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-416)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
▽ローソンチケット
0570-084-005(Lコード56830)
▽阪神プレイガイド(窓口のみ・11:00~19:00)
▽シアターBRAVA!劇場窓口(11:00~18:00)
主催=MBS/ヨーロッパ企画/オポス
後援=FM802/FM COCOLO
協力=ナレッジシアター
制作協力=サウンドクリエーター
問=サウンドクリエーター
06-6357-4400(平日12:00~19:00)
10/24(土) 15:00
(開場は開演の30分前)
前売4,000円/当日4,500円
(全席指定・未就学児入場不可)
学生シート(前売のみ)2,000円
(入場時要学生証提示)
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-696)
▽ローソンチケット
0570-084-005(Lコード48922)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
主催=高知県立県民文化ホール
問=高知県立県民文化ホール
088-824-5321(9:00~17:00)
10/29(木) 19:00
(開場は開演の30分前)
前売4,500円/当日5,000円
(全席指定・未就学児入場不可)
学生シート(前売のみ)3,500円
(入場時要学生証提示)
▽TSSオンラインチケット
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-231)
▽ローソンチケット
0570-084-006(Lコード69454)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
▽エディオン広島本店PG
▽アステールプラザ
主催= TSSテレビ新広島/(公財)広島市文化財団 アステールプラザ/ヨーロッパ企画/オポス
問=TSS事業部
082-253-1010(平日10:00~18:00)
10/31(土) 13:00/18:00★
11/1(日) 13:00
(開場は開演の30分前)
★印は出演者による「おまけトークショー」あり
前売4,500円/当日5,000円
(全席指定・未就学児入場不可)
学生シート(前売のみ)3,500円
(入場時要学生証提示)
▽スリーオクロック(郵送販売)
092-732-1688
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-304)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
▽ローソンチケット
0570-084-005(Lコード86931)
▽ちけっとぽーと
092-235-7223(福岡パルコ5F)
主催=テレビ西日本/ヨーロッパ企画/オポス
提携=西鉄ホール
後援=LOVE FM
制作協力=スリーオクロック
問=スリーオクロック
092-732-1688(平日10:00~18:30)
11/5(木) 19:00
11/6(金) 19:00
11/7(土) 13:00 / 18:00★
11/8(日) 13:00
(開場は開演の30分前)
前売4,500円/当日5,000円
(全席指定・未就学児入場不可)
学生シート(前売のみ)3,500円
(入場時要学生証提示)
▽tvkチケットカウンター
045-663-9999
▽ダイレクトセンター
052-320-9000
▽チケットぴあ
0570-02-9999(Pコード445-404)
▽ローソンチケット
0570-000-407・0570-084-003(Lコード35538)
▽イープラス
http://eplus.jp/(パソコン・携帯)
▽チケットかながわ
(電話・窓口10:00~18:00)0570-01-5415
http://www.kaat.jp/
窓口=KAAT神奈川芸術劇場・神奈川県民ホール
主催=ニッポン放送/ヨーロッパ企画/オポス
提携=KAAT神奈川芸術劇場
後援=テレビ神奈川
制作協力=ゴーチ・ブラザーズ
問=tvkチケットカウンター
045-663-9999
大阪での製作発表レポート
8月3日に、大阪市内で『遊星ブンボーグの接近』の記者会見が行われました。まず最初に『ビルのゲーツ』以降の劇団の活動を、酒井善史の生MCと共に映像でおさらい。その中でもTV『ヨーロッパ企画の26世紀フォックス2』と、舞台『TOKYO HEAD』を引き合いに出して「『26世紀…』ではギミックから発想してドラマを作るということができたし、『TOKYO…』で試したことは今回の作品に活かせるかなあと。劇団本公演はその集大成でありながらも、一番珍しいことをやりたいという思いがあります」と上田。
今回の文房具コメディというテーマに対しては、このような発言を。「保育所の卒業文集に『文房具屋さんになりたい』と書いたほど、文房具に思い入れが強くて。文房具って癒やしになるし、日々忙しい中で文房具を触ってる時間って愛おしい(笑)。それって結構、(他の人も)あるんじゃないかと。とはいえ文房具って手元のことなので、これを舞台でやるのは当然難しい。でも、ある方法で拡大すれば劇になるのでは…ということで研究を重ねて、ようやくここまでこぎつけました。ミクロなものをマクロに拡大して“文房具を観光する”という、そういうお芝居になっております」
さらに今回のゲスト4名も挨拶。それぞれの文房具愛に関しては「好きな方だと思ったけど、みんなと話してるうちにあまり好きじゃないことがわかって(一同笑)、文房具弱者というスタンスでいようと思っています」(岡嶋)、「こまごまとした物が好きなので、中ぐらいの所で頑張っていけたら」(中西)(←上田「完全に強者。詳しいというか、変わった楽しみ方をしてる」)、「筆ペンが好きですね」(吉川)(←上田「正統に興味を持って欲しかったけど、変わった物なのが残念」)、「文具自体より、文房具屋さんが好きでした。ゴチャゴチャっといろんな物が並んでるのが、子どもにとっては天国だったなと。今は100均とかで普通に並べられてて、(文房具が)かわいそうだなって(笑)」(川岡)
また会見の途中には、今回の公演キャッチコピー「なんて悠長な!」に変わるコピーを、石田剛太、酒井善史、諏訪雅、永野宗典がプレゼンするというコーナーが。最初に諏訪が「大喜利っぽいけど大喜利じゃないです!(笑)」と念を押してから、各々が提示したコピーは「悠長と直接言わず、もっと優雅な感じで“かく けす とめる”」(石田)「SF感が足りないと思うので“全機緊急発信(スクランブル)! 飛び出せ! 机上の小宇宙”」(酒井)「もっと観光にスポットを当てて“そうだ、遊星ブンボーグに行こう”」(諏訪)「文具に対する人間の真理を突いた“ペン立ちぬ、いざ書けやメモ”」(永野)。一応すべてに耳を傾けた上田だが、最終的には「じゃあ“なんて悠長な!”で」と一蹴してお開きとなりました。
会見の時点では、お互いの文房具を見せ合ったりこだわりを聞いたりして、文房具の理解を深めている最中だというヨーロッパ企画メンバー&ゲスト陣。その結果が、舞台上でどう結実するのかが楽しみです。そして上田から「分度器はぼちぼち(出すのを)あきらめなきゃいけないかな」という情報が出てきたことも、一応付け足しておきます。
(取材:吉永美和子)
座談会1
川岡 | (映画)『サマータイムマシン・ブルース』以来、他の舞台とかイベントでヨーロッパ企画との交流は続いてたけど、本公演に出るというのは考えたこともなかった。だから話があった時は「マジっすか?」って。 |
永野 | 結構とまどった? |
川岡 | 「僕みたいな役あります?」って聞いて「いや、役とかはまだないですけど」と言われて(笑)。上田君からは、ヨーロッパ企画とは違う文脈の演技をする人が必要だという話をされた。上田君の中で僕は、ドラマの『ビーチボーイズ』の印象が強くて、芸能人のイメージなんだって。まったく知らない芸能人を呼ぶよりは、ずっと舞台を見ていて、劇団のカラーをよく知っている僕を呼ぶのが面白いんじゃないかと思ったらしい。 |
永野 | でも一緒に稽古していて、大ちゃんはすぐ僕らになじんだと思うよ。 |
中川 | すごくしゃべる役だけど、この人がそもそも持っているボロがどんどん出てくる感じがして楽しい(笑)。 |
永野 | エチュードでもみんな「おやおや? 見つけたぞ」って感じで遊んでるし。 |
角田 | またそれに負けない明るさがあるからね。ようやく石田君が暗く見えるぐらい明るい人が来た(笑)。 |
永野 | そうそう。石田君の明るさはネチネチしてるけど(笑)。 |
角田 | 川岡さんはもう、太陽だから。今回の役柄的なこともあって、頼りがいがあるという感じがする。 |
川岡 | 今回は文房具コメディだけど、僕は文房具そのものより、むしろ昔の文房具屋さんの雰囲気が好きなんだと、これをやって気づかされたなあ。ノスタルジーな所での文具好きだったんだって。 |
永野 | 僕も小さい時は「こんな文房具があるんだよ」と、友達に見せびらかすためにいろいろ買ってたけど、今は何もないわ。新しい文具へのときめきが。 |
川岡 | 文具保守派に(笑)。その点角ちゃんはね、プロの道具。 |
永野 | やっぱり絵を描いてるから、僕らの知らないような物をいっぱい持ってる。 |
中川 | 羽ぼうきとかね。漫画家コントに出てくるような(笑)。 |
角田 | いやあれ、本当に便利だから。すべての消しカスがしゅんとはらえる。 |
川岡 | 逆の意味ですごかったのが晴ちゃんだよね。 |
中川 | 中学高校の時は、ボールペン1本だけポケットに入れて学校に行ってた。間違えたらガーッと塗りつぶせばいいし。 |
川岡 | 男らしいよね?「消しゴム使うなんて…」っていう感じが。誰一人共感できなかったけど(笑)。 |
中川 | それでも一応、最新文房具を見に行ってみたんだけど、面白いと思っても全然欲しいとは思わなかったなあ。必要ないんだもん、俺には。 |
角田 | でも初めて見るペンの書き味とか、試したくならない? |
中川 | ない。だって家に、まだ色の出るボールペンあるし(笑)。 |
永野 | それは僕も同じ。いろんな文具の知識を入れるのは楽しいけど、所有欲までは出てこない。やっぱり文房具って、深すぎて広すぎる世界だわ。 |
中川 | だけどこの4人の中だけでも、文房具に対する思い入れにはこれだけグラデーションがあるんだから、お客さんも多分そうだと思うんだよね。 |
永野 | そうそう。それぞれの思いや経験に個人差があるから、いろんな視点で楽しめるコメディになるんだろうなと。 |
川岡 | それと単純に、いろんな文房具が出てくるから「次は何が出るんだろう?」というワクワク感もあると思う。 |
角田 | でもオススメは、家にある文房具を触ってから劇場に来ることじゃないかな。僕は普段から文房具を使ってるから細かい部分が楽しめるけど、意外とみんなペンケースを何ヶ月も開けてないとか、カッターを全然使ってないとか…。 |
川岡 | ああ、いっぱいいると思う。 |
角田 | そういうのに一回触っておくだけでも、だいぶ楽しみ方が変わってくるかなと。 |
(取材:吉永美和子)
座談会2
岡嶋 | 去年『ビルのゲーツ』に出た時は、エチュードで芝居を作るのが初めてだから不安だったのね。でもやっぱりみんなの演技を観るのが楽しかったし、参加して面白かった。 |
諏訪 | 僕らも去年一緒にやってみて、ぜひもう一度やりたいなあと思ったんですよ。 |
西村 | うん、みんな言ってた。 |
岡嶋 | ただ去年は永野君とコンビだったのに、今年はパートナーがいないのが辛いかなあ…でも今回は「いつ台本ができるんだろう」という不安がない(笑)。 |
西村 | もう台本があるし。今まで以上に早いですよね? |
諏訪 | いつもなら、栗東(の劇場稽古)が始まった辺りで台本が届くからね。でもまあ、最後まで油断はできない。 |
西村 | ひっくり返る可能性はありますからね。 |
諏訪 | 今回はエチュードやってても、去年と比べてほんわかしてるよね。 |
岡嶋 | ちまちましてる。ずっと「何やってんねん?」と思いながら稽古見てるし。 |
西村 | やってる方も「何やってんねん?」と思いながらやってます(笑)。 |
岡嶋 | そんなこと舞台で表現するんや、っていうようなことを(笑)。でも文房具コメディやってたら、やっぱり昔を思い出すね。 |
諏訪 | 僕、むっちゃくちゃ鉛筆をかんでたなあとか、ノートの端っこを食べてたなあとか(笑)。 |
岡嶋 | そう言われたら僕も、ホチキスの針や画鋲を口に入れてたんだよね。今まですっかり忘れてたけど。 |
諏訪 | 口に入れてた系(笑)。 |
西村 | 私は家が文房具屋だから、遊ぶ物が文房具でしたね。コピー機で塗り絵作って、色鉛筆で塗ったりとか。 |
諏訪 | それかわいいなあ。 |
西村 | でも今回やってみて、今はこんなにも文房具使ってないんやなあと思いました。 |
諏訪 | 使いたくなるよね。あと僕、文房具そのものが好きな派だったけど、使うことや作ることの楽しさも、劇をやりながらわかってきた感じがする。この前酒井が、紙でイチゴ折ってたやん? |
西村 | あー、イチゴの形の袋みたいなの作ってましたね。 |
諏訪 | そういう折り方とかが懐かしいし、自分もやってみたくなる。 |
岡嶋 | だから最近、日常生活でも文房具を使ってるとニヤニヤしてしまうようになった(笑)。お客さんも見終わった後、そうなればいいよね。 |
諏訪 | 文房具にこだわるようになるかもしれないですよね。僕もちょっと前まで、フリクション1本あれば生活できるし、書き味とかどうでもいいと思ってたけど…。 |
西村 | ペンいっぱい買ってましたもんね。でも本当、見終わった後文房具屋さんに行ってほしいです。文房具屋が発展するように(笑)。 |
(取材:吉永美和子)
座談会3
中西 | 上田さんとはダンスコメディで初めて知り合いになったけど、公演が終わる頃に今後のスケジュールを聞かれたんですよ。 |
土佐 | 上ちゃんは最初から「中西さんええわー」って言ってたからなあ。会見で「吉川(莉早)さんは自意識のコントロールが上手い」みたいなこと言ってたけど、中西さんもそれに近いんやと思う。 |
石田 | なるほどねえ。エチュードの稽古はどうでした? |
中西 | 何をするのがベターなのかって、ずっと考えてましたね。皆さんが今まで培ってきたモノがすごく感じられる中で、じゃあ私は何を求められてんのかな? って。 |
石田 | でも僕は、すごくナチュラルな人だなあと思いました。「演技します!」っていうのがなくて、素のままでやってる感じ。それはダンサーだからこそなのかなあ? |
土佐 | むしろ(ウミ下着の)主宰やからかな。 普通の役者と違って、全体を考えてるんちゃう? |
中西 | そうですねえ。いいことか悪いことかわからないけど、自分も周りも客観視してることが多いと思います。 |
石田 | 中西さんが相当な文房具好きというのは、後からわかったんだよね。 |
中西 | そうですね。自分では普通の女の子ぐらいのレベルだと思ってたら「あれ?」って(笑)。特に紙類が好きで、お店の箸袋もたまに持って帰るって言ったら…。 |
石田 | ゴミを集めてる人、みたいな印象に(笑)。 |
中西 | ひどい!(笑) |
石田 | 僕は割と文房具にこだわってる方だと思うけど、新しい物を集めるんじゃなくて、自分に合った物をずっと使うというこだわり方だなあ。 |
土佐 | 僕はそんなに関心なくて…毎回そうやけど、上ちゃんと僕の趣味は対極にあるから、いつも僕で台本書くの苦しむって(笑)。だから今回の僕の役は、文具より観光の方に寄せたって言ってた。 |
石田 | 旅行ではしゃいでる奴に。 |
土佐 | でも自分の方が、台本みたいな奴になっていくよね? |
石田 | そう、普段から上田君の書いたキャラみたいになっていく。中西さんも感じます? |
中西 | あー、私をちょっと拡大したら、こんな風になるかなと…ヤバイ奴やなあ(一同笑)。でもそれで、いつものヨーロッパ企画さんとは違う風を吹かせたいなあと思います。踊るシーンもありますしね。 |
土佐 | 今回は美術が結構かわいらしいし、誰もが小さい頃に夢見た設定やと思うから、みんなをうらやましがらせるような動きをたくさんやりたいなあ。でもあまり、かわいらし過ぎないようにしたいって気持ちもあるよね? いかにふてぶてしくやるか、とか。 |
石田 | そうそう。僕はかわいらしい世界の中に、狂気じみたものを…甘さの中に山椒をピリッと効かせるような存在になれたらいいかなあと。かわいらしさは、中西さんにお任せします(笑)。 |
(取材:吉永美和子)
座談会4
本多 | 吉川さんはこれで3回連続出演かー。最多ゲスト出演になるんかな? |
酒井 | 最多は中川さんですね。中川さんは(ヨーロッパ企画に)入る前に、5回ぐらい出てたと思います。 |
本多 | 吉川さんってキレイどころやないですか? 最初は「腹黒いんちゃうかなー」と思ってたけど(笑)、「私が私が」って感じがない。群像の中でのバランス感覚がすごくいいから、これだけ呼ばれてるんやろうなあと。バランスは、酒井の50倍いいんじゃない?(一同笑) |
酒井 | 反省します。 |
吉川 | ヨーロッパの先輩方は全員優しいんですよね、めちゃくちゃ。私がセリフをちゃんと覚えてなくて、雰囲気で言ったとしても、みんなパーンと…受けのお皿が大きいから、全部上手いことしてくれるっていうのが、大好き(笑)。 |
酒井 | 「大好き」もらってアレですけど、セリフは覚えてください(一同笑)。 |
本多 | まあ前の2回は、セリフがあまりなかったしなあ。 |
酒井 | 確かにゲストにしてはピンポイントな役でしたけど、今回はね。 |
本多 | 担ってもらってますよねえ。あの役はリアクションをやり過ぎたら、観る方もちょっと距離取る気がするけど、いい塩梅やもんね。 |
酒井 | 僕も吉川さんが(舞台に)出てきてからは、楽だし楽しい。どんだけ自由にやっても受けてくれるんで。 |
吉川 | 恥ずかしい…(笑)。そういえば酒井さんが持ってる文房具って、見ただけで「これ酒井さんの」ってわかりますよね。 |
本多 | 変な巻物みたいな筆箱とか。 |
酒井 | 僕は仕事で工具を使うから、その延長で文房具も結構そろえてるんですよ。あと何か機能が付いてる奴が好きで、しょっちゅう新しいのが出たら買うという好きさです。 |
本多 | 僕は小学校の時はすげえ持ってたけど、今はホンマに…6月ぐらいに筆箱をなくして、ペン1本だけカバンに入れてる状態。 |
吉川 | 実は私も一緒で、最近はペン1本だけ放り込んでるような感じだったんですけど、恥ずかしいからみんなの前では言わんくて(笑)。でもこういう芝居をしてるから欲しくなって、鉛筆とかを買ったりしてます。またハマりそうです、文房具に。 |
酒井 | いよいよ本公演が始まりましたけど、みんなで文房具を見ていくなんて、こんな経験はないなと。できるだけ文房具をめいっぱい楽しんで、その楽しさをお客さんに伝えたいですね。 |
本多 | 僕は多分みんなが疲れた頃に出るんで、なんとかスポーツドリンク的な、元気を与えられるようにと思ってやりたいなあと。 |
吉川 | 上田さんは「バカンスっぽいお芝居になったらいいなあ」みたいなことを言ってましたね。設定もかわいいし、観に来た人が旅行に行った気持ちで、アップアップで帰れる感じになったらいいなー、と思ってます。 |
(取材:吉永美和子)
特別対談 上田誠×HARCO
上田 | 今回は本当にありがとうございました。そもそも僕は、一番音楽を聴いていた高校・大学の頃にHARCOさんを知りまして、ムーンキャンプ(註:2000年に開催されたライブツアー。かせきさいだぁ、キリンジなども参加)も見に行ってるんです。 |
HARCO | あ、それ見てるんだ! すっごーい。あれは本当に幻のツアーみたいになってますからねえ。 |
上田 | だから10年越しで、やっとご一緒させていただけたという。特に今回の作品は、HARCOさんの『文房具の音』という歌(2007年 のアルバム『KI・CO・E・RU?』に収録)にインスパイアされたものでしたからね。文房具を劇にするアイディアを考えていた時に、何となくあの曲を聴いて「あ、そうか! 拡大すればいいのか」と。文房具のサウンドを大きくして聴かせるというのは、文房具を舞台でやる一つの方法だなあと気付いた所から「じゃあ、文房具自体も拡大すればいいじゃないか」と考えて。 |
HARCO | ああ、そこから! その「音を拡大する」って感覚は面白いなあ。僕はただ音を録音しただけで、大きくしたってイメージはないけど、確かにフィーチャリングしたっていうのは、イコール拡大とも取れる。 |
上田 | そう。だからせっかくなら、今回の楽曲もお願いできたらと思ったんですよ。生みの親ですから(笑)。 |
HARCO | 光栄です(笑)。 |
上田 | 演劇の音楽はこれが初めてだったんですか? |
HARCO | そうですね。でも映画とかCMの音楽制作は何度も経験があったので、それと比べてどんな進行になるのかなあ? という気持ちで。恐れとかはあまりなかったです。 |
上田 | HARCOさんには一番最初に、ざっくりしたプロットをお渡ししたんですよね。各シーンごとにホッチキスやカッターとかの文房具のテーマがあるので、音楽もそれに合わせた文房具の音を使ってもらうと。でも冒頭は、あれでしたよね? まだ何も話ができていない段階での打ち合わせで…。 |
HARCO | ああ、渋谷のヤギがいるカフェで。 |
上田 | その時にHARCOさんに「最初はSFっぽく“ジャーン!”という感じの曲で入った方がいいかもしれないですね」って言われたんです。 |
HARCO | うん。お客さんはタイトルで「SFだ」と想像して観に来るから、それを裏切らない始まり方にする方がいいんじゃないかなあと。 |
上田 | で、最初は劇中で最も大仰な曲から入って、だんだんミニマムになっていく…というようなことを言ってくださったから、じゃあそういう構成の劇にしようと決めました(笑)。 |
HARCO | ええー! そうだったんですか? |
上田 | もちろん僕から「こういう構成にしよう」ってやる時もあるんですけど、たまたまもらったアイディアに「よし!」と思って乗っかることもあるんです。そういう後出しって、結構僕好きなんで(笑)。だからHARCOさんが「最初はミニマムから入った方が…」とおっしゃってたら、そういう構成になってたかもしれません。 |
HARCO | なるほどねえ。でもそうやって、まずタイトルを先に決めてしまうっていうのが、小説と逆の感じがしますよね。小説とかってまず話を作ってから、タイトルを後から考えるというイメージが。 |
上田 | 第一回公演の時からずうっとこのやり方ですね。音楽も、タイトルから曲を作るとかあるんですか? |
HARCO | ありますよ。つい最近も、ライブのタイトルから…ライブって、お客さんを集めるために、面白そうなタイトルをにぎやかしで付けたりするんですよ。それで「ゴマサバと夕顔と空心菜」って名前を付けた時に「じゃあ、そのタイトルと同じ新曲を作っちゃおっかなー」と思って、それを当日「実は…」ってみんなの前で発表したんです。 |
上田 | ああ、それがこの前のアルバムの…。 |
HARCO | そうそう。僕の5年ぶりのオリジナルアルバムのタイトルにもなっちゃったっていう。それは上田さんと一緒で、全部タイトルありきでできたものでした。 |
上田 | あと自分でお題を出すというか、「自分に発注する」とかもおっしゃってましたよね?「もし粉チーズのCMが来たら」という、架空の発注が。 |
HARCO | そう、架空のノベルティソングを作るっていうね。あと「もし○○さんに曲を発注されたら」とか、そういう妄想で作ったりすることもあります。 |
上田 | だからもし、僕とHARCOさんで共通項があるとしたら、何かお題がある方が作りやすいということじゃないかと。 |
HARCO | でも上田さんは、コンセプトとかも全部ガチガチにしてから進むんですよね。 |
上田 | そうですそうです。自分に制約を作ってからやるという感じ。 |
HARCO | それってちょっと、Mっ気があるってことなんですかね?(一同笑)縛られた方が盛り上がるというか。 |
上田 | いや、そうなのかもわからないです(笑)。 |
上田 | 今回の劇中音楽は、どういう所を手がかりにして作っていったのかというのが、すごく興味があるんですよ。難しかったですか? それとも意外とサクサクやれましたか? |
HARCO | 稽古の初期の段階で、エチュードを見せてもらったじゃないですか? あれで頭の中に完成図というか、実際の舞台で芝居をしている様子が目に浮かんだんで、すごく作りやすかったですね。だからほとんど悩まなかったですよ。 |
上田 | はー。あれは僕ら「まだできてないものを、わざわざ京都まで見に来てもらって、何か意味があっただろうか?」って、心配してたんですよ。「見てもよくわからない」って、もしなってたら申し訳なかったと思ってたんですけど。 |
HARCO | いやいや、まったく見てないのに比べれば、全然やっぱり。でも自分で芝居をイメージして作るというのは、映画よりもCMの進行にちょっと近いなあと思いました。 |
上田 | そうなんですか?…あ! 映画は先に映像があるから。 |
HARCO | そうなんです。映画は長いタームで順序立てて作っていくけれど、CMの場合は本当に(製作に)時間がないので、映像がまだできてない段階で絵コンテだけもらうんです。それで映像を想像しながら、音を作らなくちゃ間に合わない。演劇の場合も、その公開に向けて結構…。 |
上田 | そうですね。ギリギリまで詰めて(笑)。 |
HARCO | 芝居ができあがってくるのと、その仕上げに音楽を足していくっていうのが、本当に同時進行だったから。そういうのが割と、CM業界の進行に似ていましたね。 |
上田 | これは特に上手くいったなあ、っていう曲はありますか? |
HARCO | うーん…『マジックのインキ』の歌は、すごく気に入ってます。 |
上田 | ヨーロッパで歌詞付きの曲を劇中で使うのって、今回が初めてぐらいだったんです。その歌をお願いした時に、僕が一から歌詞を書くよりも、HARCOさんの言葉をうまく引用したいという気持ちがあって。 |
HARCO | そうですね。僕の昔の曲の、いろんな歌詞をコラージュしたものが送られてきた。 |
上田 | その引用を、わかってくれる人がわかってくれたら面白いなあと。本多君の「ジャングルクルーズだよ~」というセリフも、HARCOさんの『ジャングルクルーズ』って曲からだし。 |
HARCO | ああ、そんなのがあったんだ!(笑) |
上田 | 逆に、これは苦労したとかは? |
HARCO | 『鉛筆とクリップ入れ』という曲の前のシーンでは、消しゴムがフィーチャリングされているから、本当は消しゴムの音を入れたかったけど、こればっかりは無理でした(笑)。 |
上田 | 何をやっても音が鳴らないという(笑)。 |
HARCO | でも実は今回の文房具のサウンドって、半分ぐらいは『文房具の音』の時にスタジオで録りためていた音をそのまま使ったんですよ。データがまだ残っていたので。今回さほど苦労せずにできたのは、それがあったからというのもあります。 |
上田 | じゃあ「こんなの無茶だ」みたいなのはなかったんですか? |
HARCO | 多分僕じゃないミュージシャンだったら、全部「これ無茶だ」って思ったかもしれない(一同笑)。「文房具で音楽を」って言われても、頭が「???」みたいになって、何もできなくなっちゃうかも。 |
上田 | 確かにそうですねえ。 |
HARCO | だから僕だからできた…と言うとおこがましいですけど、たまたま僕がやってた世界観だったんで。文房具を音楽にするっていうのは。だから基本的に全部受け入れられて、楽しく作れたのかなと思います。 |
上田 | 文房具の音を音楽にされたら、ちょっと面白いというか、何だか気持ちいいなあというのは、今回作ってもらって改めて感じたことですね。 |
HARCO | 文房具ってメロディは演奏できないので、パーカッション扱いなんですよね。ただ、不思議な倍音というか…たとえばホッチキスでも「カチャ」っと打面がぶつかる音だけじゃなくて、芯がかすかにこすれる音と、離した時のバネの音と…「カチャ、スッ、バイーン」という音が。 |
上田 | 隠しサウンドがあるという。 |
HARCO | そうなんです。いろんな微妙な音が混じっていて、その全体がホッチキスの音、みたいな。 |
上田 | なるほどなるほど。マジックでも、太い所と細い部分で音が多分違うでしょうし、紙のこすれる音とかも入ってくるだろうし。 |
HARCO | そうそう。それがやっぱり、楽器の音とは違う所ですね。ただのパーカッションにはない、不思議な倍音。それが音楽の中で鳴っていると、たまに音楽の中から文房具の音がはみ出して聞こえてくるんです。それがね、気持ちいい。音楽的に考えると。 |
上田 | あー、それで気持ちいいのかあ。 |
HARCO | どんな物事にも言えるんですけど、本来の用途とは間違った使い方をすると、絶対普通とは違う作用が起こるんですよ。僕はその「間違った使い方」って大好きで(笑)。セオリー通りにやらないというのが、基本大好きなんです。 |
上田 | でもそれはそうかもしれない。演劇でも、今回のように中継映像を使ったりとか…文房具をテーマにすること自体もそうなんですけど、本来あんまり舞台に乗らなさそうなことを舞台に上げることで、予想外の新しい感覚が生まれたりしますから。ピタゴラ装置だって、ああいう長時間の無人のシーンをやるのって、演劇ではセオリー外のことですし(笑)。 |
HARCO | そう。だから予想外の装置とか、予想外の音楽を入れれば、相乗効果で予想外に面白い芝居になるという。まあ、下手するとどんどんヤバいことになっていくけど(笑)。 |
上田 | そうですね、そのバランスが…。 |
HARCO | 難しいという。 |
上田 | だからそこが、僕がHARCOさんにすごくシンパシーを感じるというか、好きな所なんだなと。ポップソングでありながら、実験性との融合をはかっておられるという。今回も文房具のサウンドを使ってるからって、実験的な楽曲じゃないですしね。曲としては、ちゃんとポップな曲に。 |
HARCO | そう言われるとヨーロッパ企画もね、コンセプトは不条理だけど、中身は不条理じゃないというか、お茶の間でも通用するようなね。そういう所がいいんじゃないかなあと思うし、そこが僕と似ているというか。 |
上田 | だから無茶をお願いしても、お願いした分だけバランスを取ってやってくださるというのは、すごく安心感がありました。 |
HARCO | でも今回演劇の音楽をやってみて、映画音楽と違って、場面場面をつなぐ役割のために音楽があるんだなあと思いましたね。 |
上田 | あ、そうですね。シーンの後ろに流れるというより、シーンのイメージをつなぐっていうような、確かに。 |
HARCO | 演劇ってセリフの所で音楽が鳴ると、やっぱりセリフが聴きづらくなっちゃうからかな? |
上田 | いや、劇団にもよるんですけどね。でも演劇においては、悲しいけど笑えるとか、バカバカしいのになぜかグッと来るとか、何か複数の感情がないまぜになったような場面を作る方がいいのかもしれないっていうのが、僕は結構あって。そういう「この場面が笑えるのかグッと来るのか」っていうのを、音楽で規定するのは…たとえば悲しい音楽を流して悲しいだけの気分にしてしまうとかって、もったいないって気持ちがあるんですよ。 |
HARCO | あー、だからセリフの時はあえて音楽を付けないと。 |
上田 | そうですそうです。とはいえ音楽も大好きなんで、上手く連動させてみたいというか、音楽と劇の面白い関係が何か新しく作れたらなあというのもあるんですよ。実はマジックインキの所がそうだったんですけれど、今回はちょっとそれを試し始めてみた劇でもあったんです。おそるおそるというか。 |
HARCO | ああ、でも(過去公演の)DVDを見せてもらったら、曲はオープニングとエンディングだけっていうのが結構多かったんで、いつもとは違うんだなあと。きっと今回は、一番曲数が多いですよね? |
上田 | そうですね。できるだけ劇の中身と音楽を、有機的に合わせ込もうと思って。劇の展開に合わせて組曲っぽくしてもらったというか。なので、この場面に他の曲をはめても成り立つとかってならない。 |
HARCO | カッターのシーンが終わったら、カッターの音から始まりますからねえ。他の曲と入れ替えられない。 |
上田 | 構成面でも、舞台上に文房具が1つ、また1つ集まって、それがピタゴラという形である和音になるということを、楽曲の構成で背負っていただく形になりましたからね。そのおかげで、ストーリーで頑張ってまとめにかからなくても、自然に舞台がまとまりました。本来脚本で解決するべき所を、楽曲にやってもらったという。そういうことが音楽ってできるんだなあ、というのも発見でした。こういう劇と音楽の関係のさらなる試みを、また何かHARCOさんにお願いしたいなあと。 |
HARCO | いいですねえ。たとえば極端に、ヨーロッパ企画がオペラ! みたいな(一同笑)。 |
上田 | そういうので、またいろいろ実験ができたらなあって思います。 |
(取材:吉永美和子)
上田誠 単独インタビュー
──ようやく文房具コメディが実現しましたね。
『サーフィンUSB』の頃から考えていたので、5年かかりました。いつもそうなんですけど、この題材を劇にできたら、劇団としてまた新しい地平が切り開けるという予感があったんですよ。でもこれができるようになるには、結構劇団の実力や、周りの理解が必要になるだろうなあと。だからやっと実現できてよかったというのが、今一番の感想です。
──確かに最初言い出した時は、観客だけでなくメンバーも「何言ってんだ?」って雰囲気でしたし。
そうでしたねえ。そういう突飛な題材をやったら、お客さんも劇団員も心の準備ができてなくて、あまり雰囲気が良くないまま終わるってことが、初期の頃はたまにあったんです。だから今回は「文房具コメディやります」と言い続けて、次第に「じゃあどうやるんだろう?」と期待する雰囲気を作っておいたのが大きかったですね。やっぱりやりたいことは、口にして言っておくもんだと思いました(笑)。
──今回はいかにも「SFだろうなあ」というタイトルでしたね。
文房具という言葉を使ったタイトルを考えているうちにこれが浮かんで、それ以外のタイトルが思いつかなくなったんです。でもあまりにも作る時にハードルが高くなりそうなタイトルだったので、いったんちょっと寝かせておくことにしました。その代わりに上演したのが(昨年の)『ビルのゲーツ』だったんです。
──じゃあもしその時に良いアイディアが出ていたら、公演の順番が入れ替わってたかもしれなかったと。
それはあったかもしれません。でも『ビルのゲーツ』をやったから、文房具コメディはまた一回休みかなあ、とも思ったんです。どっちもビジネスっぽいじゃないですか? 文房具もITの世界も。でも考えているうちに、割とテイストを変えられそうな気がしてきたんです。前回がどんどん大きな物に立ち向かう話だったから、今回は小さい所に掘り下げていく感じにすればいいんじゃないかと。
──『ビル』とは対照的な世界に。
そうそう。前回は男性たちが戦う話になったから、今回は女性目線っぽくして、何かを見ていくだけのような話にしたいなと。たとえばカタログ本って、ただ読んでるだけでも面白いものじゃないですか?『Windows5000』はまさにそういう構造の劇にできたし、今回もただ文房具を見ていくだけの話にしようと思いました。本当は『ビルのゲーツ』もそういうものにしたかったんですけど、作っていくうちにああなっちゃったんですよね(笑)。
──ヨーロッパ初出演の川岡さんと中西さんの参加は、どういう効果がありましたか?
川岡さんみたいに、出てきただけでパッと舞台が明るくなるようなエネルギーを持ってる人って、意外とそれまで出てなかったんですよ。それがさすがだなあと思ったし、ご一緒してすごく新鮮でした。中西さんは「それ普通劇団員がやることだろ」っていうような細かいつなぎもちゃんとやってくださるし、ダンサーさんだからパッと華やかなこともやれる。岡嶋さんと吉川さんもそうですけど、みんながそれぞれの世界で培ったことを持ってきて、ヨーロッパのテイストを理解した上で混ぜ込んでくるということを、ちゃんとやってくださる人ばかりで良かったです。
──今回は「いつもよりも脚本が早い」とみんなが言っていたように、割とスムーズに完成できたそうですが。
今回は各シーンの中心となる文房具を先に決めて、そのシーンごとに話を作っていくというやり方だったんです。つまり基本的なお皿を先に作っておいて、後はそこにできるだけ物を乗せていくという。だからずっと、楽しく盛り付けができたという感じでした。いつもだったら、このシーンのアイディアが出ないから、次のシーンに移れない…みたいな苦しみがあるので、そういうことを考えずに作れたのが良かったのかもしれません。あと文房具という、もともと存在する物が題材というのも大きかったと思います。『ビルのゲーツ』だったら、仕掛けとかを全部ゼロから考えないといけなかったから。
──それでも苦労した点というのはありましたか?
登場させる文房具のチョイスですね。ヨーロッパ企画は何よりもまず、舞台美術を考える所から始めるんですけど、今回は一度「この文房具で」と発注してしまったら、最後までそれを使うしかなくなる…という美術だったので。でも文房具って死ぬほど種類があるから、どれを使ってどれを涙を飲んで切るかというのがすごく果てしなくて、その取捨選択が一番苦労した所でした。
──結局はどういう基準でチョイスしたんでしょう。
やっぱり、自分が普段お世話になってるような物じゃないと(脚本が)書けないかなと。その中から「どういう文房具が出てきたらみんな嬉しいかな?」というのと、話が膨らみそうな物というので考えたら、結局は誰の家にもありそうな文房具になりました。舞台に出したかったけど、いろんな都合で難しかった物は、じゃあ映像の方で使おうと。
──あの映像の使い方は驚きましたね。
アナログの劇って思わせておいて、結構ハイテクなことをやりましたよね。一昔前ならできなかった映像の使い方を、ちゃんとやれたというのが、今回一番ジャンプアップできたポイントでした。そういう意味では、アナログなこととデジタルなことの対比が上手く出た劇じゃないかなあと思います。
──見そうは見えないけど、実はいろいろ挑戦的な舞台だったと。
と、思うんですけどねえ。キャスティングもいつもとはガラッと変えてるし、女の子が中心というのもヨーロッパ企画では初めてだし。観た人には割と「ザ・ヨーロッパ企画だ」という風に言ってもらってるんですけど、実は実験したつもりなんですよ(笑)。
──実験を感じさせない気楽なテイストが「いつも通り」と思わせたのかもしれませんね。
かもしれませんね。今回「文房具コメディやります」って言ったら、みんな思い出したように文房具の話をするんですけど、その「思い出して」っていうのは、普段思考のピントがそこに合っていないってことじゃないですか? 手元の物にもう一回ピントを合わせて、触って眺めるということ自体が、ある意味旅行っぽいというか、、バカンスになるという気持ちが僕にはあるんです。だからメッセージっぽいことはグッとこらえて、文房具を触る愉悦とか面白さみたいな所でやり切った感じがあります。それがなかなか難しかったポイントかもしれない。
──でも「やっぱり文房具っていいよね」と、嫌な気分にならずに帰れる芝居というのは、このご時世にはかえってありがたいかもしれません。
意外とタイムリーな作品になったかもしれませんね。でも一番は、文房具が好きな人に「これはたまらん」って思ってもらいたくて、そういう人たちに向けて頑張って作ったものなんです。だから文房具が少しでも好きな人にはぜひ見てもらいたいし、単純に「文房具をどうやって演劇にするんだろう?」と思ってる人にも来てほしいですね。本当に、ここまで文房具について徹底的にやった劇って、あんまりないと思いますから。
──遊星ブンボーグとは実は地球のことだった、という設定にまずヤラれましたね。
でもこれって後付けなんですよ。ミクロとマクロが同居する話にしたくてこういうタイトルにして、いつかどこかでつながるかなあ…と考えていました。まず文房具が大きくて、人の方が小さいというアイディアだけが先に出て来たんです。そこからいろんな設定が浮かんでくる中で、小さな宇宙人たちが地球に文房具を観に来るという、この形に落ち着きました。
──何にせよ、文房具はリアルに拡大するというのは決まっていたと。
だから最初は、美術家さんに「巨大な文房具ってどれが作りやすいですか?」と聞くところから始めました。どんな物でもできないことはないらしいんですが、巨大にしても説得力があったり、1つのシーンを持たせることができる物を選び抜きました。美術的に見栄えがしたり、勝算がありそうなものが優先で、ストーリー上必要だから…という、物語からのトップダウンの物はほとんどないです。
──普通は脚本に合わせて美術を作るのに、美術の都合で脚本が左右されるというのは、上田さんならではかもしれないです。
そうなんですよね。「こういう美術になりました」という結果を受けて「じゃあこれで最大限書こう」という話ですから。だから順番がおかしいといえばおかしい(笑)。でもモノや場所が先にあって、それに本をはめていくっていうのは、僕はすごく好きな方法なんです。映像でも、脚本ありきでそこに合わせてロケ地を探すよりも、先にロケ地があってから脚本を書く方が絶対僕は好きだし、むしろ自然なことなんです。
──地球人はバックスクリーンのライブ中継映像で巨大化して見せるという、あの映像の使い方を思いついたのは?
小人に対してさらに大きな人間を映像で出す、というアイデアは割とパッと出たんです。だけど色々ハードルもあって、特に、ずーっとその映像が出続けてなきゃいけない、となると映像のウエイトがかなり大きくなってしまって劇としてはどうなんだろう、というのが大きな懸念材料としてありました。なので、映像をうまくオンオフできるような設定はないかな、と考えていた時に、ノートパソコンの裏を舞台にするということを思いついたんです。昔だったら(借りぐらしの)アリエッティみたいな「床下のこびと」っていうようなことが、今ならパソコンの裏というのが身近な上に盲点だし、ネットワークの世界から逃れてアナログの物を見るっていう今回のテーマとも合うし、しかも開け閉めでオンオフができると。この設定が浮かんだ時は「よっしゃあ!」と思いました。
──じゃあパソコンの裏という設定を思いついたことで、あの仕掛けが実現したと。
そうそう。もちろん技術的なハードルもあったし、オンオフするにしてもなお、映像に頼りすぎることで演劇の大事な所が削がれちゃったらどうしよう…というドキドキもありました。でも一度(舞台)『TOKYO HEAD』で、ゲームを操作している手元を、中継映像を通して拡大して見せるということはやってましたからね。やっぱり一度試して、その実感を得ているのが大きかったです。
──とはいっても吉川さんや永野さんは、見えない相手に対して演技をしないといけないわけだから、かなり大変な役なのでは?
演劇として見本がないことに挑戦しているから、あの位置はすごく難しいと思います。だけど2人はうまくやってくれてますし、そしてやっぱり中継って異常に面白いというのが、今回の発見でしたね。デジタルの映像の人間と、生の人間の引っ張り合いも、すごくいい感じにやれていると思います。とはいえやっぱり、映像の力ってあまりにも大きくて、今後どんどん演劇の大事なところが映像に置き変わっちゃう予感がするので、注意深く使っていかないとなあとも思いました。
──最後の巨大ピタゴラ装置も面白かったですね。 ラストは宇宙人が、お別れする時に何か残していくのが王道だろうなと。とはいえそのリアクションをタブレットで撮っている、というのがとても絶妙な線なんですが(笑)。今回はたまたまですけど、デジタルの力をかなり借りた舞台になったので、最後ぐらいはアナログな所にグッと引き戻した方がいいなあということで、ピタゴラ装置を出しました。それを思いつくまでは、結構悩ましかったですけどね。
──先ほど「ネットワークの世界から逃れてアナログの物を見る」というのが、今回のテーマという話が出てきましたが。
特にここ最近ですけど、ネット上を飛び交ういろんな発言とかに、ついつい日々心が動いたりするんですよ。そればっかり見ていると、一体世界では今何が起こっているのか? というのが、全然わからなくて不安になったりして。でも手元にある文房具とかをちゃんと見つめると、そんなことを忘れるなあという感じが、僕には何となくあるんです。別に危機感を抱いてるわけじゃないけど、みんなネットワークのオンラインの世界で生きていて、手元のアナログなことやオフラインの世界のことがどんどん希薄になっているんじゃないかと。
──最近のヨーロッパは、意外と現代の社会の雰囲気が反映された劇が続いていて、今回はちょっとそこから離れたかな…と思ったんですけど、実は文房具を見つめ直すことで、世界と自分の距離感を見直す的な狙いがあったと。
いやもう、バッチリそれですよ。本当に、今はとかく剣呑な時代に見えちゃうんで。だけど一方で手元のことに目を向けると、こんなにも世界は悠長に見えるからいいなあ、と。だから「なんて悠長な!」って(公演)キャッチコピーも、はっきり平和宣言ですね(笑)。剣呑な時代から逃避して、あるユートピアに着地するという。今やそっちが贅沢なことかなあと。文房具とかのアナログなものに向き合って、何かやる時間なんていうのは。
──平和で豊かな場所って、意外と自分の手元にあるんじゃないですかと。
そうなんですよねえ。こういうある過渡期みたいな時代だからこそ悠長な劇をやりたいと思ったし、実際いいムードのものができたという自負はあります。僕は割と時代を限定されない、ロングスパンの物を書くのが好きなんですけど、この劇は10年前に作っても、10年後に作っても全然違う話になったと思うんですよ。だからいつもなら、その時代を特定できるような固有名詞を出すことは避けるんですけど、今回は「まあいいや」と思って結構出しました。マスキングテープとか(笑)。
──まさに2015年だからできた芝居。
そんな感じがしますね。2015年を反映したというか、2015年っぽい劇になったなあと、珍しく思います。最初は、バカンスを終えた宇宙人たちがただ去っていくというので終わろうと思ったんですけど、この悠長な感じをもう少し続けたくなったので、みんなが引き返してくるラストにしたんです。でもまあ僕、残るのが好きですからね。世の中はどんどん動いていて、ここはもう終わってるのにまだ残ってるという状態が、劇の感覚としてすごく好きだから。
──念願の文房具コメディができたことで、今後の可能性はさらに広がったのではないかと思いますが。
それはすごく思いましたし、実際もっと実験的なことだってできるのかもしれない。でもやっぱり、自分だけでガッと行ってもしょうがないんですよ。お客さんや劇団メンバー、そしてスタッフが乗ってくれることが重要なんだなあと。だからもしみんなが「そういうのって全然ありだ」って言ってくれるなら、もっとミクロな劇や、逆にマクロな劇とか(笑)、モノクロの劇なんていうのもできるかもしれない。これからもいろいろ、ちゃんと「これ、できるかも」という空気を作っていきながら、珍しいものに挑戦していきたいと思います。
(取材:吉永美和子)
2時間を予定しています。途中休憩はありません。(2015/8/18)
通常の公演と同じように全編を上演し、その結果や反応を踏まえて
公演内容により磨きをかけるために行わせていただいています。
それ以後の公演では、シーンが増減したり、
セリフや演出内容(楽曲や映像)が変わる場合が多少なりともあります。
少しだけ安めの料金設定となっています。
作品の正式なお披露目を前に、内覧会のようなもの、と思っていただいて、
広い心で大らかに楽しんでいただけますと幸いです。
本編上演終了後に出演者・演出家がトークショーを行います。
作品にまつわることや裏話など、ざっくばらんな内容です。
公演地によって関わったスタッフやゲストが飛び入り出演することもあります。
時間は30分程度ですが、興が乗ると少し長くなる場合もあります。
トークショーの間も客席の照明はほんのりついていますので、
途中退場も比較的容易かと思います。
客席内の壁際や後方にビデオカメラが設置されます。
できるだけ音を立てないように気をつけたり、
照明が暗くなるタイミングではディスプレイを隠すなどの努力はしていますが、
多少、気になる場合があるかも知れません。
本編の上演内容や照明・音響などの演出効果は通常の公演と変わりません。
当日券は開演の1時間前から会場入口で販売します。
当日券は基本的に前売券の残席を販売しますが、
前売券が完売している回でも舞台の一部が見えづらいお席などを
僅かな枚数ながら販売はする場合があります。
当日券の販売見込みは各公演日になりましたらtwitter(@sekkinkun)でお知らせします。
公演期間中でも劇場入口にスタッフがいる時間が限られています。
通常のお客様がロビーにいない本番上演中ですと、
ロビーにお入りいただいて物販コーナーを見ていただくことも可能です。
通常の開演時間から10分後くらいに受付にお声掛けいただけると、
スムーズにご案内できるかと思います。
外部リンク ⇒ サンライズプロモーション東京 - FAQ -