この後は、記者からの質疑応答。主なやり取りは以下の通り(回答は全て上田誠)。
──本当に、役者さんが移動しながら演技をするという構造になるのでしょうか。
本当に話の中で、どんどん(役者が)移動しながら話が展開するということを考えています。今回はタイトルが『ロベルトの操縦』なので、結局は「乗り物に乗る」ことで、面白い移動が作れないかという方向になりました。『衛星都市のサウダージ』( 07 年)という作品は宇宙船の話だったんですけど、その時はロビーで話してるような状況と変わらなかったんです。今回はもう少し「移動感」が出せるような仕掛けを考えております。役者の動きはかなり激しいですね。(稽古で)若干ケガ人が出かけたぐらいです。
──セットはどういう感じになっていますか?
セットを単純にチェンジすることで、いろんな場所を見せる方法はあると思うんですが、僕はそれがあまり好きではないんです。シチュエーションを具体的に作って、芝居を見てるうちにどんどんその空間が愛おしくなってくるということは、すごくあると思うから、ずっとシチュエーション・コメディをやってきたわけで。なのでそれ(ワンシチュエーション)を維持しながらも、移動するという方法を考えています。さらに(今まで続けてきた)高低差を使った舞台美術ということを維持しつつも、移動性のある舞台ということで。
──それは飛行機ですか?
チラシを作った時は、相当飛行機の可能性が高かったんですけど(一同笑)。飛行機だと、移動してるというよりは機内の話になってしまうので、飛行機じゃなくしました。
──ロベルトは出てくるんですか?
出てきます。誰というのは言えませんが、でも本当に『ロベルトの操縦』としか言いようのない話です。
──なぜ今回客演を呼ぼうと思われたんですか?
もともとヨーロッパ企画って、第 20 回公演ぐらいまでは、スタッフワークもメンバーや身内で回してたぐらい、内弁慶な集団だったんです。でも、中山さんも出ていた『昭和島ウォーカー』( 08 年)は、キャストの半分がヨーロッパメンバーで、残りの半分はそうじゃない方々という舞台だった。それがやっぱり面白い混ざり方というか、何か新しい掛け算ができたという感触があったんで、それで(客演を)お呼びしようと決めました。
──中山さんと山本さんを選ばれた理由は。
中山さんは、それこそ『昭和島』で出会って、当たり前ですけど面白かったんですね。まだまだ僕がわかってない部分もきっとある中で、またどこかで一緒にやらせてもらえたら嬉しいとは、つねづね思っていました。逆に山本さんは全然面識がなく、山脇が出ていた舞台を一回観ただけだったんですけど、すごく頼もしく思えたんですね。で、移動のコメディをやろうという時に、何かたくましい人をやっていただけたらいいなと思って、お呼びしました。今のところ、明らかにいつもの稽古とは違っているので、すでに「お呼びしてよかったな」と思っています。
若干固い雰囲気で始まった会見も、劇団員コーナーの頃には笑い声もあふれ、質疑応答の頃にはだいぶんとなごやかな雰囲気になっていたのは、さすがヨーロッパ企画というところか。その中でも少しずつではあるけど、つまびらかにされてきた『ロベルトの操縦』の全貌。おそらく多くの記者が、単なる一ファンとして「一体どんな舞台になるのか?」と、胸をふくらませるような気分になったに違いありません。
(取材・文:吉永美和子) |