[ヨーロッパ企画トップページ]  [[月とスイートスポット公演情報]

 
   
 

 

今回の公演にゲストで呼ばれたのは、拙者ムニエル/モッカモッカの加藤啓と、ロロの望月綾乃。2人とも永野宗典のユニット「永野宗典不条理劇場」への出演経験があり、さらに加藤は、上田演出&酒井・永野・本多出演の「加藤啓アワー」に脚本を書き下ろしたりと、ヨーロッパ企画とは浅からぬ縁があった者同士でもある。現在京都で絶賛稽古中の2人に、自分の劇団のことやヨーロッパ企画との出会い、メンバーの印象などを、いろいろ語ってもらいました。

前編はこちら

 

 

 

 

■上田君は条理で考えつつ、とんでもない発想もある(加藤)

 

加藤 加藤啓アワーの時は、上田君から演出の時に、素朴な疑問をいっぱいぶつけられたんですよ。「このセリフはどういう意味ですか?」「何が言いたいんですか?」とか。
望月 理解できないことが、いっぱいあったわけですね。
加藤 それで「このセリフに意味はないんですか? なんで啓さん、意味のないこと書いてるんですか?」みたいに言われたりして(一同笑)。だからその時に、上田君は意味があることしか書かないんだって、衝撃を受けたのね。
望月 いやー、確かに上田さんって、何か理由があって芝居作ってるなって感じが、すごくしますよね。私も『劇野郎が来る!』の時に、永野さんが「最後に人形が死ぬシーンがあって…」とか話してる時に、上田さんが「人形が死ぬって何ですか?」って聞いてきて。
加藤 「人形って生きてるんですか?」って?(笑)
望月 そう、めっちゃ真面目な顔で。永野さんがそれまた「いや、人形が死ぬんですよ!」って、すごく真面目に返してて。不条理と条理の戦いが、そこで行われてました(笑)。
加藤 わかるわー。ただ上田君ってすごく頭がいいから、頭でちゃんと考えてる部分と、そうじゃない…何かとんでもない発想もいっぱいあって。だからただの条理の人間じゃないなあと、最近思い始めてるんだけどね。
望月 そうそう。普段は頭の中でいろいろ理由付けしながら演出してるけど、たまにそれが「どうでもいいや!」って感じで…ヨーロッパ企画の芝居って、いろいろなゴタゴタが重なって、みんながワーッ! てなるシーンが、よくあるじゃないですか? そういうシーンのアイディアを思いついた時って、上田さんの顔がちょっとほころぶんですよね。
加藤 頭でキチンと考えている部分と、何かがバッと壊れた時の喜んでる感じを、両方持ち合わせてるなあと思いますね。
望月 それを壊していくのが、やっぱりヨーロッパのメンバーなんですよ。上田さんが一生懸命考えてきたことを「そんなのいいや!」って思わせるぐらいのモノを、役者さんが持ってきてくれて。それで化学反応みたいなのが起こって、この世界ができてるんだなあと、今稽古場で見ていて思います。やはりそこは、ずっと一緒にやってきたメンバーの強みなんでしょうね。
加藤 あと上田君で印象的なのは、稽古が終わった後も…それこそ一緒に呑んでる時とかに「あのシーン面白かったですよねえ」って、ずっと面白かったポイントを反芻してるんですよ(笑)。もちろん作家として確認もしてるんでしょうけど、本当に面白いことが好きな人なんだなあと思います。
望月 一番楽しそうですもんね、上田さんが。稽古場でも一番笑ってるし。それはやっぱりやってる側も、見ていて嬉しくなります。


 

 

■普段から仲良さそうって感じが、稽古中にもグッと来ます(望月)

 

加藤 僕も望月さんも、ヨーロッパより先に「永野宗典不条理劇場」に出てるから、稽古場でも永野さんと望月さんの3人でいると、ちょっと落ち着くというのがありますよね。
望月 不条理チルドレンなので(笑)。
加藤 永野君といると、自分の中の不条理の血が騒ぐというか(笑)。加藤啓アワーも、実は不条理劇場の枝分かれの1つだし、永野君は本当に面白いです。
望月 私は最近、諏訪さんがすっごく面白いですね。今回、デリカシーのないことをバシバシ言う場面があるんですけど、あの言い方がたまらなくステキだなあ、と思っています。
加藤 あと、僕の酒井に対するツッコミが、もうひどいらしい(笑)。みんなの方がひどいんじゃないかと思うんですけど、僕が相当ひどいって。でも僕、酒井大好きなんですよ。人間に興味がなさそうな人って、逆に話しかけたくなる(笑)。
望月 そうですよねえ。発明好きだったりして、有機物より無機物の方に興味がある感じですもんね。心のあるものに、あんまり興味がなさそうな(一同笑)。
加藤 あとここ最近で言えば、石田君とすごく急接近してます。「石田鍋」っていうのを、もう3回もいただきました。でも多分そのうち、また距離が出てくるんでしょうけど(笑)。
望月 距離が出ることを、もう予想してるんですね(笑)。
加藤 いや、石田君が自分で言うんですよ。「僕は最初の頃に仲良くするタイプらしいです」って。メンバーそれぞれ役割があるんですね。
望月 石田さんは、外部の人の窓口になるという役割。
加藤 うん、いい窓口になってますよ。
望月 でも私がヨーロッパ企画を観た時、何に「ステキだなあ」と思ったかっていったら、そういう普段から仲良さそうな雰囲気が、そのまま舞台に上がってるって感じだったんですよ。実際稽古場でも、みんな本当に仲が良くって楽しそうな瞬間があって、それが一番、グッと来ますね。でも自分はまだ、ちょっと頭で考えちゃってる部分があるので、もっとみんなと一緒に楽しくやれるように…楽しみ切りたいというのを、今すごく思っています。
加藤 そうだね。今回は今まで観ていたヨーロッパ企画の、何か可愛らしい部分とは違う世界を、どれだけ面白く作れるかってことに挑戦してる感じがするんですよ。その中で、僕も何か少しでも、ある部分を担いたいなあと思っています。あと年齢的には(出演者の中では)ちょっと上だから、お客さんに「オジサン出てきた」って引かれないように(笑)…浮かないように気をつけたいと思います。

 

 
  【質問:今、一番漂流したい所はどこですか?】

加藤 奈良ですね。京都は今まで2回、稽古で長期滞在していて、その時に結構自転車でいろんな所を回ったから、次は奈良を攻めたいなあと。特に平城京跡地が、地面をコンクリートで固めるという噂があるので、今のうちにあのバーっと広い所を漂流したいです。

 

望月 どこかの温泉地に行って、いろんな日帰り温泉に、ちょっとずつ入ってフラフラしたいです。寒くなってくると、無性に大きくて温かいお風呂に入りたくなってくるので。この前も深夜に岩盤浴をやってるスーパー銭湯に行くために、チャリで30分かけて行きましたよ。帰りが寒くて、結局冷えちゃったんですけどね(笑)。