2019.11.07
映画『ドロステのはてで僕ら(仮)』製作発表のご報告
京都を拠点に活動を続ける劇団、ヨーロッパ企画が、初の長編映画『ドロステのはてで僕ら(仮) 』の製作に挑戦します。
これまで代表の上田誠さんが他の長編映画の脚本に参加したり、劇団員が各自ショートフィルムの監督を務めたりと、演劇のみならず映画・映像作品にも力を注いできたヨーロッパ企画ですが、“劇団”として1本のオリジナル映画を製作するのは初の試みとなります。
また、『サマータイムマシン・ブルース』以降、たびたびSF、時間、タイムマシンをテーマにしてきたヨーロッパ企画。“時間映画”は上田誠さんの得意とするジャンルですが、『ゴ』(2008)、『タイムマシン』(2011)、『ハウリング』(2013)、『恋の小フーガ』(2016)、『タイムブック』(2018)と、そのどれもが短編映画でした。以後、“時間映画”の模索が水面下で続けられておりましたが、この度、満を持して長編映画の製作に着手することになりました。「ヨーロッパ企画と下北沢映画祭のトリウッド大作戦」というイベントから派生した映画製作プロジェクトとして、2020年春、トリウッドほか全国順次公開も決定しております!
2019年10月14日(月・祝)、第11回下北沢映画祭にて同作の製作発表が行われ、脚本を手がける劇団代表の上田誠さん、監督の山口淳太さん、劇団員の角田貴志さん、諏訪雅さん、中川晴樹さん、本多力さんが登壇しました。
次に、ドロステ効果(※1)を駆使して、テレビとテレビが起こした時間的ハウリングに翻弄される男を11分間の長回しでとらえた『ハウリング』を上映。何度も観ているという山口さんは「こんなにも没入できるタイムスリップの映画は初めてでした」と述懐。撮影中、あまりの複雑な構造にカメラマンが嘔吐したという秘話も明かされ、メンバーも口々に「きっと“時間酔い”したんやね」とコメント。
そしてついに迎えた長編映画製作プロジェクトの発表。製作決定の映像、そして「時間ファン垂涎。」の文字がスクリーンに流れると、会場からは大きな拍手と笑い声が。
監督に抜擢されたのは、ヨーロッパ企画映像ディレクターの山口さん。上田さんは 監督を託した経緯について「僕は淳太さんが監督すべき作品だと思っています。というのも、長編映画となると、恋愛などのドラマ性も入れ込まなければいけない。『ハウリング』で培ったアイデアをエンジンにしつつ、(ドラマ部分は)淳太さんに託そうと思いました」と明かします。
それでも角田さんや諏訪さんからは「淳太監督は本当にSFが好きなのか?」「淳太が好きなのは、SFより探偵とか犬でしょ? 俺はそっちを観たい!」と容赦ない突っ込みが。それに対し、上田さんが「犬が出ている可能性だってありますよ。テレビ越しに犬と犬が向かい合うかもしれない」と切り返し、会場は大爆笑。
上田さんによると、『ドロステのはてで僕ら(仮)』は、60分超えを想定しており、長回しで撮影するかはまだ検討中だとか。演じる側のメンバーは「『ハウリング』の11分でさえ、あんなに大変そうなんだから、長編になったらもっとしんどいはず」(角田)、「ドロステのはてで…吐く?」(本多)となにやら及び腰。 おめでたい製作発表の場で、早くも分裂、撮影中止の危機に陥るヨーロッパ企画。
そこへ、未来からやって来た中川晴樹さん扮する“タイムパトロール”が現れ、「君たちはタイムパラドックスを起こしかけている。我々の未来では、この映画は映画史に残る映画になっている。つまり映画を作らないと未来が変わってしまう!」と警告。時間改変は阻止され、めでたく製作中止は免れました。
最後に、山口さんは「ヨーロッパ企画が培ってきた映像制作の集大成としての一本を作ります」、上田さんは「狂気の企画が始まりますよ!」とそれぞれ意気込み、会場からは温かい拍手が送られていました。
製作発表後にはロビーにてサイン会も行われました。