■「加藤啓アワーでは、すごく簡単なギター演奏に挑戦したけど…」(本多)
本多 僕は本公演が終わってすぐ、加藤啓アワーの稽古に入りましたね。
中川 あれ、内容はよく覚えてないけど、ずっとみんなフザけてたって印象やなあ(一同笑)。
本多 台本はすごく早めに上がってたんですけど、それをどういう風にするかっていうのを、直前までずっと探りながら稽古やってて。最終みんな歌を歌う、楽器弾く、みたいな。そういう芝居になってたんじゃないかなあ。
中川 本多君も、なんかギター弾いてたっけ?
角田 え、ギター弾けんの?
本多 いや、弾けへん。だからすごく簡単な、2つの弦だけを「1、2、1、2」で弾くみたいな…コードとも言えへんような、ベースみたいな(笑)。
角田 単音だけの(笑)。
本多 それがまた、稽古の時にはできても、やっぱ本番になると楽器はできないんですよ。
中川 できへんよねえ。
本多 そりゃ役者も本番ではミスしますけど、でもそれより難しかったです。
中川 『(タクシードライバー)祇園太郎』の撮影も、ちょうどその頃じゃなかった?
本多 あれは永野さんとか、角田さんが中心にやってるから。僕は声の出演というか…まあ、手伝いです(笑)。
角田 でも本多君いなくなったらねえ、どうにもならないから。
本多 いやでも、「別に祇園太郎が出えへん回を作ってもいいか」みたいな話も出てるからね(笑)。で、年が明けてからイエティ『ブラッド&バター』の稽古ですね。僕初めて出させてもらったけど、(作・演出の)大歳君のやり方に慣れてへんかったりとか、(共演の)かもめちゃんとも打ち解けなあかんしとか、いろいろ大変でしたね。
角田 でも別に、本多君が初めてだからどうとかっていうのは、そんな感じもしなかったけどね。ヨーロッパメンバーばっかりやから。
本多 うん。でもとにかく、かもめちゃんの心を開かそうと、皆で試行錯誤してました。
中川 でけんかったんやろ?
本多 そうですね、結局。「人と打ち解けるのに1年かかる」って言ってましたから。
中川 そら無理や(笑)。
本多 それで5月にハイタウンがあって。僕は諏訪さんの『殺鼠コメディ』と、大歳君の『暗号コメディ』に出ました。あれはもう、喉がガラガラになったって記憶しかないですねえ。『暗号』では叫びまくってたから、みんな。
角田 そんなにやったっけ?
本多 いや、稽古か何かで、むっちゃ「ワー!」とか言ってて、始め。それで休演日の間に、何かの撮影に行ったら「声出ぇへんな」みたいな話になって。で、ステロイドを飲んだ思い出があります(笑)。で、その後は、ムロ式は7月からだったから…あ、『ドラゴン青年団』やってましたね。その時僕だけ空いてたんですよ、多分。他のみんなは舞台とか、いろいろやってたから。
中川 ヨーロッパ企画を代表して。
本多 いやもう、プレッシャーでしたよそら、はい。
角田 本多君は仕事を相当選んでるからね(笑)。ギャラの高そうな。
中川 まず、ギャラの交渉から入りますから。単価いくらだとか。
本多 選んでませんよ! ギャラなんて聞いたことないし!!
角田 だからもう今、芸能人って感じしますもんね。
中川 僕らも会うとちょっとやっぱ、緊張しますしねえ。着てる物もおしゃれやし。
本多 普通ですよ、普通。
角田 金回りいいもんな。
中川 引っ越した先も、いい所住んでるしねえ。僕同じ所に住もうとしたけど、結局住めなかったですからねえ。やっぱ家賃考えたら、しょうがないなあって。
本多 いやいや、学生しかいないですよ!(笑)
■「『ドラゴン青年団』は、上田君の感じが出るよう気を使ってた」(本多)
中川 まあでも『ドラゴン青年団』は、結構大変だったんじゃないの?
本多 脚本は上田君やけど、出演者はみんな違うジャンルの人たちだし、監督は違うしで。その中で、なるべく上田君の書きたかったことの感じが出るように、いろいろ合間にしゃべってたりはしてたんですけど。でも僕、そういうTVドラマに全然慣れてないから、(他の役者に)かぶったりとかすごくしてて、それはすごく注意されましたね。
中川 そうそう。『曲がれ! スプーン』の時も思ったけど、難しいんだよね。ただの映像作品に出るのとは、全然話が違う。
本多 まあでも、役者の人らとも、スタッフさんとかも、みんなすごく仲良くなって。それでヨーロッパ企画に興味を持ってくれる人も結構いたんで、『月とスイートスポット』は結構来てくれると思う。それでみんながヨーロッパ観てくれて、他の現場でメンバーに会ったら、お互いやりやすくなるでしょ? ペースがわかるというか。そうやっていろいろ、広がればいいかなあという感じですね。
中川 …偉い。
角田 偉いなあ(笑)。背負って行ってるからねえ、やっぱ。
本多 まあまあ。で、その次がムロ式なんですけど…あ、12月にもやってたか。ただ夏の公演は、作品を書かなかったんで。それまでのムロ式では、いつも短編を書いていて、毎回「書けへんー!」ってなるんだけど、今回は過去の作品をやったんで。だから取りあえず、役者だけに集中できましたね。
角田 ムロ式は観ましたよ。あれは(上演時間が)長かったのと、あとセットが何か、面白かったね。(文字を壁に)書いたら消える、みたいな。
中川 あとオープニング映像がすごいよね、毎回。
角田 あーそうそう。おっしゃれな感じで。シュッとした感じやもんね、全体的に。パッケージがね…チラシとか。
中川 大阪公演とか、前売が即完だったらしいからね。
角田 『ドラゴン青年団』人気で?
中川 「タモツや!」みたいな。
本多 いや、『ドラゴン青年団』まだ放送前やったから(一同笑)。で、その後がイエティ『ウイークポイントシャッフル』ですね。Wキャストで。初めての経験だったから、周りがやりにくかったりしないかなあ、って思いました。
中川 でもまあ周りがねえ、やりにくいやろなあ。
角田 まあ、後の方の人が大変でしょ。土佐君が。いろいろ身体に異変が…不調をきたして。多分メンタルから来てる(笑)。
中川 本多の後やもんね。
角田 本多がやり散らかして、商業演劇の方に行ったから(一同笑)。
本多 いやいやいや、商業じゃないし! バリバリ小劇場ですよ!! はえぎわ(http://haegiwa.net/)(『ライフスタイル体操第一』)は。
角田 はえぎわでは、むっちゃ楽しそうにしてるっていう噂はあったよ。本多、どこよりも一番、あそこが楽しかったんじゃないかって(笑)。
中川 いつもの「楽しそうなフリ」じゃなく、本当に楽しかったんやね?(一同笑)
本多 ああ、本当に楽しかったです。本当に楽しかった。一緒にやった人たちが、みんないい人やったのが大きいですね。60歳ぐらいの人もいっぱい出てたから、なんか家族みたいな雰囲気で。お父さんお母さんみたいな感じで「いやあ〜、台詞覚えたの? すごいねえ」とか(一同笑)。
中川 いいよねえ、そういうのは。
本多 最初の方はヨーロッパみたいなエチュードをしたけど、途中から一切せず、台詞を覚えるための自主稽古みたいな感じになって。みんなで何回も何回も繰り返して。覚える作業っていうより、芝居を固めるって作業。それはヨーロッパには、あまりないですよね?
中川 うん「芝居を固める作業」ってしないもんね、僕ら。
本多 でも本当、今年はいろんな所でいっぱい知り合いができたから、その人らが(本公演を)観に来てくれる、それがもう、楽しみですね。
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